相手からもらう慰謝料に弁護士費用を上乗せして請求できるでしょうか

私たちは決して弁護士と無縁ではありません。交通事故や離婚問題、借金を返してくれない、家賃を払ってくれないなど、生活のさまざまな面でトラブルが起きたとき、弁護士に依頼することが少なくありません。そうなると弁護士費用がかかりますが、相手に慰謝料を請求したときに、あわせて弁護士費用も請求できるのでしょうか。

弁護士に慰謝料請求の依頼をする方法やその期間について

弁護士費用の着手金とは?

私たちがトラブルに巻き込まれたとき、損害賠償請求や慰謝料請求をすることになります。そういうときに自分で対処するのは難しいので、解決のための手続きを弁護士に依頼しますが、弁護士費用がいくらぐらいかかるのか、とても気になりますね。

弁護士に依頼する場合には、まず着手金が必要です。着手金は契約の手付金のような性質を持つため、裁判などの結果にかかわらず、返金されません。また弁護士に依頼した際に、一括払いで先に支払います。着手金の金額は、請求金額、あるいは請求されている金額、事件の内容や種類などによって違いがあります。

日本弁護士連合会の基準では、経済的利益(回収予定の金額)の2%から8%を請求する弁護士が多いのですが、なかには10%と決めている場合もあります。概算で考えると、簡単な交通事故や離婚調停などの場合は約20万円、離婚訴訟では約30万円かかることが多くなっています。

着手金について疑問がある場合は、納得のいくまで弁護士の話をよく聞きましょう。

弁護士の報酬金とは?

弁護士の報酬金とは、事件が解決したときに、その内容に応じて支払う費用であり、原告の経済的利益(回収できた金額)をもとにして払わなければなりません。報酬金についても、日本弁護士連合会の基準では、経済的利益の2~16%となっていますが、着手金と同様に10%と定めている弁護士事務所が多くなっています。

たとえば原告が1,000万円を請求し、訴訟の結果、被告から700万円を払ってもらえることになった場合について考えてみます。着手金の場合は、経済的利益を請求額の1,000万円とすることが多いのに反し、報酬金は実際に回収できた700万円を経済的利益と考えて計算されます。

したがって、報酬金の割合が10%であれば、請求される報酬金は700万円の10%、つまり70万円になります。

一方、被告は、原告が請求した1,000万円が700万円に減額になったので、差額の300万円を経済的利益として計算することになります。

したがってこの場合は、請求される金額は、経済的利益の300万円の10%、つまり30万円になります。報酬金は着手金とは違い、結果として得た経済的利益をもとに計算するため、ボーナスのようなものと考えるとわかりやすいでしょう。

その他かかる弁護士費用は?

その他、弁護士に支払う費用には、まず日当があります。弁護士はトラブルの現場に行かなければなりません。たとえば交通事故なら事故現場、不動産のトラブルでは不動産の所在地に行きます。また訴訟が地方の裁判所で行われるときは、そこまで行かなければなりません。

そういうときは弁護士の日当が加算されます。日当は半日の場合3万円から5万円、1日の場合は5万円から10万円かかると思ってよいでしょう。また、実費がかかります。書類の郵送料金、訴状等に必要な印紙代、裁判所に納入する郵便切手代、さらに弁護士が使用した交通費や宿泊費が請求されます。

資料のコピー代も実費ですが、膨大な証拠資料などが必要な場合、コピー代も膨大になりますから、念頭におかなければなりません。

弁護士費用を相手に請求できるの?

では裁判で勝訴した場合、相手に弁護士費用を請求できるでしょうか。結論から言うと、日本では弁護士費用を請求することはできません。たとえば500万円請求していた裁判の結果、勝訴し、500万円を回収できた場合についてです。

弁護士の着手金が50万円、報酬金が10%として50万円かかれば、合計100万円が弁護士費用です。

この場合、500万円回収できても、弁護士費用が100万円かかるため、実質的な経済的利益は400万円になります。

つまり、勝訴しても弁護士費用は自分で支払わなければならないため、相手から回収した金額がすべて自分に入ってくるわけではないことに注意が必要です。

不法行為の場合は弁護士費用の請求ができます

一般的に、弁護士費用を相手方に請求することはできませんが、不法行為により損害賠償請求をする場合は、相手に弁護士費用を請求することができます。不法行為とは、不倫や交通事故など、故意あるいは過失による違法行為により、相手に損害を与えることです。

民法では不法行為による損害賠償について定められており、不法行為によって損害を被った場合、加害者に損害賠償を請求できます。そのときに、弁護士費用もあわせて相手に請求できることになっています。逆に、借金を支払う約束をしたのに相手側が支払わないなどといった債務不履行による請求は不法行為ではないため、弁護士費用の請求は不可能です。

ただし、弁護士費用の全額が請求できるわけではなく、判決で認められた賠償金額の約10%が弁護士費用として認められるため、500万円の損害賠償の場合に認められる弁護士費用は50万円となります。

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労働災害で被害を被った時も弁護士費用が請求できる?

2012年の最高裁判決により、労働者が労働災害により被害を被ったことに関し、会社側の安全配慮義務違反による損害賠償の場合は、不法行為と同様に労働者は弁護士費用を会社に負担させることができる、ということになりました。

示談交渉に弁護士費用を合算できる?

損害賠償請求を示談交渉で行う場合、相手に多めの金額を請求するのが普通です。というのは、相手は請求したとおりの額を払ってくれるわけではなく、減額を要求してくることが多いからです。たとえば相手に500万円を請求しても、相手方は300万円に減額してほしいと言う可能性があります。

そして交渉し合い、最終的に400万円になるという場合が多いのが現実です。ですから500万円を支払ってほしいときは、最初に700万円など、多めの請求をすればよいのです。

そうすると相手が減額を要求してきて、500万円になるかもしれません。このように、多めに請求して、そこに弁護士費用を含めるという方法があります。ですから、どうしても弁護士費用を払ってもらいたい場合は、相手の出方を見てなるべく多く請求する必要があります。

そのへんのことも、弁護士に相談するとよいでしょう。